KITAAKITA 戸嶋靖昌の故郷

故郷北秋田の風景は、戸嶋靖昌のアルバムに多く残されている。雪深い、厳しい自然に囲まれて、生きることの過酷さを絶えず感じていただろう。戸嶋靖昌は坊澤の大庄屋の家に生まれ、曾祖父、祖父と村長を務めた旧家の生まれであった。故郷で見た風景が、後の制作の原点となった。

縄文の大地

伊勢堂岱遺跡 ――縄文人の祈りをいまに伝える祭祀の場

秋田県北秋田市にある伊勢堂岱遺跡は、標高45mの大地上に位置する。平成7年から大館能代空港を建設のための道路工事の際、大地を掘り起こしたところ、ストーンサークル4基が集中する日本全国でも類例のない巨大な祭祀遺跡が発見された。他にも祭に使われていた土器や土偶など、縄文人の世界観が伝わるさまざまな遺物が発掘され、学術的にも非常に価値の高い遺跡である。縄文人の手によるストーンサークルは未完のまま残されている。

史跡伊勢堂岱遺跡の公式HPはこちら
※臨時休館、入館方法等の予定は、上記の公式HPでご確認ください。
写真左:伊勢堂岱遺跡より出土された板状土偶
写真右上段、中段左、下段カット:
同遺跡にある四つのストーンサークル(環状列石)
写真中段右:発掘された土製円板
(画像提供:北秋田市教育委員会)
戸嶋靖昌の未完の芸術は、縄文の生命の環に繋がる――

森吉山の記憶
MEMORY OF MT. MORIYOSHI

戸嶋靖昌は故郷の坊澤へ帰ると、少し足を延ばし森吉山へ登った。縄文人も恵を授かりに足を踏み入れたであろう、狩りと採集の営みがいまだ色濃く残る山。
はたして戸嶋はこの山で何を見ていたのか。

ここには、山の神、伝承の鬼、そして人と鬼の狭間で闘う又鬼マタギが生きている。

戸嶋は動物を愛した。自然と森、雪深い故郷を愛した。それは終生、どの地にあろうとも変わらなかった。ヨーロッパの縄文とも言えるケルト文化が横たわる西の辺境の地、スペインでは石のある風景を、赤く傾いた土地を見ていた。
故郷の家を思い起こしながら、グラナダの廃屋を雪景色のように描いた。

子供のころから見ていた色、空気、風、山の精は、
いつでも戸嶋を包んでいた――
撮影: 廣田勇介
上:廃屋の庭
下:風の光線
戸嶋靖昌 画
戸嶋の目にはいつも、ふるさと秋田が在った。
スペインで描いた家々、森、自然風景は故郷を映し出していた。

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