第34回「スペインの風」展
スペインの風
展覧会パネル文章
いつの日も、スペインにはひとつの風が吹き続けている。それは遠い過去から吹き来る熱情であり、また遙かな未来へ向かって吹き行く希望と言ってもいい。その風は、スペイン人に深い「祈り」をもたらした。祈りこそが、スペインを偉大にしたのである。そして同時に、激しい停滞をももたらしたのだ。古代ケルト文明を引き継ぐこの国を、霊性的な未来の文明を担う国へと導いているのは、この風に他ならない。戸嶋靖昌がスペインを愛し続けたのは、この風のゆえだった。古くそして新しいこの風に、戸嶋は魅了され続けた。騎士道すら生み出したこの風に、心から惹かれていた。古代ケルト文明と中世の融合から生まれたこの文明の風に、打ちのめされていたのだ。戸嶋靖昌を生み出した日本の縄文文明の魂は、このスペインの風を抱き締め続けていたに違いない。
執行草舟
- 〈展覧会 案内葉書〉スペインの風 戸嶋靖昌 画
- 〈展覧会イメージ作品〉オルベーラの風 戸嶋靖昌 画
- 〈展覧会名〉
- 第34回「スペインの風」 展
- 〈会期〉
- 2023年10月3日(火)~2024年1月27日(土)
- 〈概要〉
- スペインの風に誘われ、およそ30年画業を彼の地で続けた洋画家 戸嶋靖昌――。2020年に開催された秋田県立美術館「縄文の焔と闇」展以来、約三年ぶりの個展を戸嶋靖昌記念館展示室(東京都千代田区麴町)にて開催いたします。また、駐日スペイン大使館(東京都港区六本木)にて、執行草舟コレクション「禅と美-スペインからのまなざし」展(10月30日~11月24日)が同時期の開催となります。日西友好を記念した両展覧会へとお運び頂けましたら幸いに存じます。