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第33回「寂―JAKU」展

寂―JAKU 展覧会パネル文章

芸術の本質は、人間の魂が示す躍動の軌跡にある。その魂の躍動を支えているものを、私は「負のエネルギー」と表現しているのだ。負のエネルギーの根源には、限り無い静謐が鎮もれている。その静謐が、この地上における「ワビ・サビ」を生きた現実と為さしめる力をもつ。私は禅の奥義書たる『臨済録』において、その力学的構造を教えられたと思う。臨済の示す「負の力学」こそが、真の静謐をこの世に現成させる力をもつのだ。そしてその力を、私は「」という思想として捉えた。禅門に漂う神韻こそは、寂の本源と言えるだろう。この本源は、深く芸術の創造にを打ち込んだと言ってもいい。この禅の思想は、洋の東西を問わず、秀れた芸術家の魂を捉えて来た。その芸術的表現のすべてを、私は「寂」の芸術と名付けたいのだ。いま、その芸術の数々を展覧できることを、私は誇りに思っている。
執行草舟
  • 〈展覧会 案内葉書〉富士山 広田勇介 撮影
  • 〈展覧会イメージ作品〉大伴家持 安田靫彦 画
〈展覧会名〉
第33回「寂―JAKU」 展
〈会期〉
2023年7月4日(火)~2023年9月22日(土)
〈概要〉
樹々に聴き、風を想う。夏の静けさ、ほの灯りのゆらぎ。ふと喧騒は消え、寂は息づく。いずれの瞬間にも――。執行草舟コレクションより、安田靫彦の日本画、戸嶋靖昌の洋画作品、土門拳の書、広田勇介の写真作品など、寂を感じさせる芸術を展覧します。展示室にて、ぜひ静寂のひとときをお楽しみください。

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