第23回「青き沙漠へ ― 新たなる出帆 ―」展
青き沙漠へ ― 新たなる出帆 ―
展覧会パネル文章
青き沙漠が、人類の魂を築き上げて来たのだ。それは、みずみずしい涸渇感と言い換えてもいいだろう。死を厭うことのない、人間の魂の純情である。
久遠のみずみずしさが、暗黒を抱き締めている姿が見える。若人の夢が、昇る落日を現成している。そのような芸術が、この世にもあるのだ。私はこの現代文明の中にあって、その青き沙漠を目指した人々と出会って来た。それらの人々の芸術をこの世に問うことは、私がもつ不断の使命と心得ている。これらの人々は、無点の中にひとつの無限性を紡ぎ出している。そこに見られる出帆の意志は、新しい文明を見据えているに違いない。本当の物は、無から生まれるのだ。文明をつんざく、無を体験したい。そのような精神が、私の「憂国の芸術」を形創っている。芸術とは、自己の黙示録を引き寄せるためにこそある。
執行草舟
- 〈展覧会 案内葉書〉来訪者 八反田友則 画
- 〈展覧会イメージ作品〉ジャンヌ・ダルクの幻想 斎藤正夫 画
- 〈展覧会名〉
- 第23回「青き沙漠へ」―新たなる出帆― 展
- 〈会期〉
- 2020年7月13日(月)~2021年1月16日(土)
- 〈概要〉
- 大航海時代 ――。果てしない青い沙漠の中、人は遙かなる星を見上げ、混沌の海の先にある新しい大地を信じた。「無点に非ず」と決する芸術家もまた、大航海時代を生きた先人たちと同じく、作品という新天地を創っていく。「青き沙漠へ」展では、人間として模索しながら、無から有を創造する執行草舟コレクションの芸術家たちの航路を辿ります。未公開の八反田友則、北川健次、藤島範明、柏田忠、石田淳一といった現在を生きる画家達や廣田勇介、山澤伸といった写真家達の作品も展示されます。