第31回「流体の美学」展
流体の美学
展覧会パネル文章
生命とは、ひとつの「流れ」である。宇宙の力が浸潤する、燃え上がる青春と言っていいだろう。虚空に向かって放たれる「永遠の問い」が、その質量を支えているに違いない。暗黒の宇宙を仰ぎ見る人間の魂のみが、この問いを抱き締め続けることが出来るのだ。我々の生命を貫徹するその「流れ」が、我々の憧れを生み出している。我々の苦悩を創り上げている。そして何よりも、我々にこの問いを常に突き付けているのだ。芸術は、この問いを地上に展開することに他ならない。生命を貫徹する「流れ」と、どう向き合うのか。それをどこへ向かって放つのか。それこそが、人間の芸術と呼ぶべきものだ。いまここに、この「流れ」と向き合う魂の叫びが集まって来た。生命の「流れ」の中に屹立する魂がある。「流れ」に抗う魂もまたある。これらの「流れ」が創る無常の美しさのゆえに、私は本展を「流体の美学」と命名した。
執行草舟
- 〈展覧会 案内葉書〉碧の影Ⅰ コシノジュンコ画
- 〈展覧会イメージ作品〉摩利支尊天 部分 高橋泥舟書
- 〈展覧会名〉
- 第31回「流体の美学」 展
- 〈会期〉
- 2022年10月11日(火)~2023年2月28日(火)
- 〈概要〉
- 「流体」とはいかなるものか――。宇宙の負のエネルギーである暗黒流体なる存在が、いかに芸術に表わされるのか、執行草舟コレクションを代表する数々の作品から、その大いなる謎に迫ります。新しく所蔵されたコシノジュンコ氏の作品、伊勢内宮禰宜 荒木田氏、高橋泥舟の書を始め、いのちの奔流をコレクション作品から、ぜひご体感ください。