執行草舟が愛する偉人たちの言葉を「草舟座右銘」とし、一つひとつの言葉との出会い、想い、情緒を、書き下ろします。いままで著作のなかで触れた言葉もありますが、改めて各偉人に対して感じることや、その言葉をどのように精神的支柱としてきたか、草舟が定期的にみなさまへご紹介します。ウェブサイトで初めて公開する座右銘も登場します。
人間は来たるべき存在である。人間は人間の未来である。
《 L'homme est à venir. L'homme est l'avenir de l'homme. 》
ジャン=ポール・サルトルは、その『実存主義とは何か』において、この言葉を引用した。自己のもつ人類的希望の思想を表わすものとして、これを選んだのだ。「存在」を徹底的に追求した思想家が、ポンジュの言葉に人類の本質を感じたのである。人間はまだ未完なのだ。我々は、まだ「人間」になっていない。我々は未来の「人間」のための前提としての存在に過ぎない。またサルトルの盟友モーリス・メルロ=ポンティは、この「未完の人間」の思想を
人間は、
信仰を失ってしまった現代人は、すでに未来を志向する指針を失ってしまったのだ。この人間たちが、人間として存続するためには、いまは
2022年8月6日
掲載箇所(執行草舟著作):『根源へ』p.447、『「憧れ」の思想』p.63,213