昭和二十年三月九日から十日にかけての深更、東京の深川・本所から向島・日本橋に至る下町一帯が米空軍による大爆撃を受け、わずか二時間で十万人もの住民が尊い命を奪われました。
戦後、その慰霊祭が連綿と行われてきましたが、私共有志は、特に当時国民学校の生徒だった少年少女たちの死を悼み、忘れられたある真実の光をこれに充てて、靖國の宮居において、深層よりの魂鎮めを願うものであります。
その真実とは、これら学童はただ屠所の羊のごとくむざむざと殺されたにあらず、彼らは、本土決戦の声かまびすしきなか、「ここも戦場だ」、「戦う僕ら小国民」の標語を胸に、凛々しい最期を遂げたということであります。
こうした事実を無視し、ただ従来の如く受け身の「犠牲者」と見るのみでは却って彼らの魂は浮かばれないであろうと、からくも大空襲から生き延びた旧少年の一人として私は感じてまいりました。のみならず、戦後平和主義の観点から狂気と見られようとも、明日なき祖国防衛のために幼い命を捧げる覚悟をもって日々困苦に耐え、実際に蕾の命を散らした多数の学童を、いつまでも「無辜の犠牲者」と嘆くのではなく、彼らがそう信じたように勇気ある小戦士として認識しなおし、これを顕彰すべき日が到来したと信じます。
ここに「戦う僕ら小国民」として非命に斃れた学童らの顕彰鎮魂祭の斎行を冀うことは、ふたたび四海波高き現下の日本にとって覚醒と再起のためにも必要でありましょう。かかる思いを籠め、英霊にはあらねども、「戦う僕ら小国民」として非命に斃れた学童らの雄々しき御霊鎮めを挙行させていただく次第であります。
主催「戦う僕ら小国民」顕彰鎮魂の会
代表 竹本忠雄
(旧国民学校生徒・下町大空襲生存者 筑波大学名誉教授)
「戦う僕ら小国民」顕彰鎮魂祭当日の様子は、後日、動画配信にてご覧いただけます。人数制限があるため、一般の方の当日参加はできませんので、予めご了承ください。
令和四年三月十日に行われた「戦う僕ら小国民」顕彰鎮魂祭には、文芸評論家の小川榮太郎氏、松本徹氏、産経新聞社の桑原聡氏、歌人で三浦義一の孫の三浦柳氏を始めとする方々にご参加いただき、東京大空襲で亡くなった下町を中心とする学童を鎮魂するための祭祀が執り行われました。主催代表の竹本忠雄氏による祭文が読み上げられ、東京大空襲の当時、国民学校六年生、十一歳の少年だった氏が、単なる犠牲者ではなく、「銃後の守り」の自覚と誇りを持った小戦士たちだったということを証言しました。
「戦う僕ら小国民」顕彰鎮魂祭に関する記事はこちら(産経新聞2022年3月19日 桑原聡 筆)