戸嶋靖昌記念館

戸嶋靖昌記念館について

戸嶋靖昌記念館は、日曜と祝日は閉館。
開館時間:午前11時~午後6時(※要予約)電話番号:03-3511-8162

戸嶋靖昌は、画家として壮絶で孤高な72年の生涯を生き、気高く深淵な芸術作品を数多く残しました。戸嶋靖昌と執行草舟は、その作品が二人を出会わせることによって、戸嶋が病没するまでの約三年間、互いに深い信頼の上に親交を結びました。
「戸嶋靖昌記念館」は、戸嶋亡き後、執行草舟がその遺志を受け、戸嶋芸術を保存し、伝えて行くために設立した記念館です。戸嶋靖昌記念館は、戸嶋の作品と遺品を保存し随時展示しています。(東京都千代田区麹町1-10)⇒地図はこちら

戸嶋靖昌記念館 分館(千代田区麹町1-10)

戸嶋靖昌記念館 分館(千代田区麹町1-10)

戸嶋靖昌について

戸嶋靖昌 41 歳
戸嶋靖昌 41 歳

実に、見事な死であった。
戸嶋靖昌は、鬱蒼たる森から生まれ、その芸術にすべてを捧げ尽くした。
死を宣告された日、戸嶋は何事も無かったように、最後の芸術を描き上げる決意を固めていた。多分、自らのうち深く、己が仕事による新たなる出発を祈っていたのであろう。「誰にも解かり得ぬ悲しみがあるのだ」。そう戸嶋は言った。そうに違いない。憧れに生きる者は、それゆえに永遠の生命が与えられるのではないか。戸嶋とその芸術は、現代日本において、ひとつの屹立であった。己れの信ずる道を、ただ真っすぐに生き切った男である。そして、天を目指す「垂直の憧れ」と呼ぶべき芸術を残して死んだのである。その痕跡と死が、この記念館を生み出したのだ。ここには、戸嶋の「血と涙」がある。ここには、戸嶋の「夢と憧れ」があるのだ。つまり、その魂のすべてである。

執行草舟

戸嶋靖昌へ捧ぐ歌二首

作品紹介

永遠のメンブリージョ

永遠のメンブリージョ永遠のメンブリージョ

街・三つの塔―グラナダ遠望―

街・三つの塔―グラナダ遠望―街・三つの塔―グラナダ遠望―

裸―Ra―

腐って行く過程こそが肉体なのだ。だから、
愛情がなければそれを見つめることはできない。
                ー戸嶋靖昌
裸―Ra―

巖の草舟

巖の草舟
私は切れば血の出るような人物画を
描きたいのだ。
           ー戸嶋靖昌

クエンカ―スペイン風景―

私が大地を描くとき、私は大地を埋葬しているのだ。
大地は、それ自身が祈りである。
                  ー戸嶋靖昌
クエンカ―スペイン風景―

戸嶋靖昌年表年譜

1934年
誕生。秋田県北秋田郡鷹巣町(現・北秋田市)出身。
1952年
秋田県立大館鳳鳴高校卒業。
1953年
武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)西洋画科入学。教授陣に麻生三郎、森芳雄、山口薫等。
1954年
教授陣に山口長男が就任。戸嶋は山口を敬慕した。
1955年
同学校彫刻科へ転科。油絵制作は続ける。
1958年
同学校卒業。教授陣の勧めで彫刻科助手へ就任。
1967年
彫刻科助手を退任。麻生三郎の推薦で、銀座・サヱグサ画廊にて初個展を開く。
1970年
山口長男から絵画研究グループに誘われ、油絵制作・デッサン研究を行なう。
この年、三島由紀夫の自決事件をきっかけに、「冬の庭」など森を描くようになる。
1974年
ベラスケス、エル・グレコ、スルバランやスペインのバロック芸術などに興味をもち、スペインへ制作のため渡る。
マドリッド、アスナルカサル村に滞在。
1976年
グラナダに転居。以降、制作拠点とする。その後、数回の帰国をはさみ、2000年の帰国までグラナダに居住。
1995年
グラナダのアトリエに奥田瑛二が訪ねる。その様子が日本テレビ「グラナダの赤い絵の具」で放映される。
この頃、かりんのモティーフや人物像を多く描く。
2000年
戸嶋の画業を支え続けた妻・曰子の死去(1999年)をきっかけに、日本へ帰国。
2002年
執行草舟が『月刊美術』(平成十二年七月二十日発行)に掲載された戸嶋の絵を初めて見て、その芸術性に驚き、戸嶋靖昌に会う。戸嶋は執行草舟の肖像画を描くことになる。
2003年
虎ノ門のアトリエ(バイオテック㈱旧社屋内)で制作始まる。
2004年
40年ぶりに彫刻制作を虎ノ門で行なう。
2006年
「魅せられたる魂―執行草舟の像―」を絶筆とし、死去。葬儀では本人の希望でバッハの「マタイ受難曲」が流された。
『月刊美術』十二月号に「魅せられたる魂ー執行草舟の像ー」が、特集の中に取り上げられ、掲載された。
2007年
磯江毅が中心となる写実の絵画展「存在の美学」展に、磯江の強い希望で戸嶋靖昌の絵画が展示される。
2008年
戸嶋靖昌が住んでいたアトリエ(稲城市)を保存。
2009年
韓国の写真家チョン・セヨン氏による写真集『TOSHIMA』(樹流山房)が出版され、戸嶋の写真と絵画が本として刊行される。
2011年
戸嶋靖昌記念館(千代田区麹町1-10)が、バイオテック㈱新社屋内に、開設、翌年の四月にオープンでする。
2012年
武蔵野美術大学・学長(当時) 甲田洋二氏、同大学教授・黒川弘毅氏、朴亨國氏が戸嶋靖昌記念館 分館に来館。
甲田学長と、館長・執行草舟の対談が行なわれ、小冊子 『対談 戸嶋靖昌とその時代ー戦後の武蔵野美術大学ー』に纏められる。
2013年
戸嶋が生前、執行に託していた録音記録を元に、山口長男との対話を小冊子にまとめた『我と汝ー山口長男と戸嶋靖昌の対話ー』が、戸嶋靖昌記念館より発行される。
2015年
府中市美術館にて「炎の油画家5人展」開催。府中多摩で活躍した画家たちの一人に、戸嶋靖昌が選ばれ、作品二十三点を出品。

スペイン大使館主催「孤高のリアリズム」-戸嶋靖昌の芸術- 展が開催される。駐日スペイン大使ゴンサロ・デ・ベニート氏による辞と、文化担当参事官サンティアゴ・エレロ・アミーゴ氏および執行草舟の芸術対談が本展覧会図録に収録される。図録デザインは建築家 モニカ・ビジャルバ・デ・マダリアーガ氏による。

2016年
戸嶋靖昌の芸術作品とその生涯を紹介した決定版、『孤高のリアリズム』(講談社エディトリアル)が刊行される。またこの本の出版を記念して、セルバンテス文化センター東京にて、國學院大學文学部教授の小池寿子氏による講演会「戸嶋靖昌 存在の地層―邂逅と回帰」(駐日スペイン大使館協賛)を開催。
2017年
NHK 日曜美術館にて、「グラナダ・魂の画譜―戸嶋靖昌・孤高のリアリズム―」が放映される。
(司会:井浦新、伊東敏恵 出演:奥田瑛二、小池寿子)知られざる戸嶋靖昌の人生と画業を追い、スペインでの海外ロケを含む綿密な取材を元に、番組制作される。

セルバンテス文化センター東京にて「戸嶋靖昌の見たスペイン」展が開催される。戸嶋がスペインで制作した風景画や肖像画などの作品約50点と、戸嶋自身が撮影したフィルム写真を展示。また、本展覧会を記念して、駐日スペイン大使館にてリナ・トゥール・ボネ氏による戸嶋靖昌に捧げたバイオリンコンサートも開催。戸嶋の愛したバッハの「シャコンヌ」、グラナダの詩人ガルシア・ロルカに捧げたプーランクのバイオリンとピアノのためのソナタを演奏。

スペインの全国紙 EL PAÍS紙(2017年5月23日、デジタル版国際面掲載)に、戸嶋靖昌と本展覧会について紹介した記事が掲載される。

2018年
スペインのサラマンカ大学日西文化センターにて「いま、ウナムーノを問う―日本人画家 戸嶋靖昌による ウナムーノへのオマージュ―」展(5月17日-6月15日)が、東京の駐日スペイン大使館にて「いま、ウナムーノを問う」展(9月12日-10月9日)が開催される。両展覧会は日西外交樹立150周年、サラマンカ大学創立800周年を記念したもので、日西文化センターには2500名以上の方が来館し、過去最高記録となる。

2019年
東京在住の外国人有志による雑誌「Tokyo Poetry Journal Vol.7 Yamato-Sepharad Constellations」(編集:Jeffrey Johnson氏)で戸嶋靖昌とその絵画が紹介される。

スペイン・カタルーニャの日本文化雑誌“eikyõ influencias japonesas”(『eikyõ ―日本の影響―』)2019年春号 vol.33に戸嶋靖昌に関する記事が掲載される(筆者:Jaime Romero氏)⇒記事はこちら(本文翻訳文) 雑誌の公式サイトはこちら

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