戸嶋靖昌は、画家として壮絶で孤高な72年の生涯を生き、気高く深淵な芸術作品を数多く残しました。戸嶋靖昌と執行草舟は、その作品が二人を出会わせることによって、戸嶋が病没するまでの約三年間、互いに深い信頼の上に親交を結びました。
「戸嶋靖昌記念館」は、戸嶋亡き後、執行草舟がその遺志を受け、戸嶋芸術を保存し、伝えて行くために設立した記念館です。戸嶋靖昌記念館は、戸嶋の作品と遺品を保存し随時展示しています。(東京都千代田区麹町1-10)⇒地図はこちら
戸嶋靖昌記念館 分館(千代田区麹町1-10)
実に、見事な死であった。
戸嶋靖昌は、鬱蒼たる森から生まれ、その芸術にすべてを捧げ尽くした。
死を宣告された日、戸嶋は何事も無かったように、最後の芸術を描き上げる決意を固めていた。多分、自らのうち深く、己が仕事による新たなる出発を祈っていたのであろう。「誰にも解かり得ぬ悲しみがあるのだ」。そう戸嶋は言った。そうに違いない。憧れに生きる者は、それゆえに永遠の生命が与えられるのではないか。戸嶋とその芸術は、現代日本において、ひとつの屹立であった。己れの信ずる道を、ただ真っすぐに生き切った男である。そして、天を目指す「垂直の憧れ」と呼ぶべき芸術を残して死んだのである。その痕跡と死が、この記念館を生み出したのだ。ここには、戸嶋の「血と涙」がある。ここには、戸嶋の「夢と憧れ」があるのだ。つまり、その魂のすべてである。
執行草舟
スペイン大使館主催「孤高のリアリズム」-戸嶋靖昌の芸術- 展が開催される。駐日スペイン大使ゴンサロ・デ・ベニート氏による辞と、文化担当参事官サンティアゴ・エレロ・アミーゴ氏および執行草舟の芸術対談が本展覧会図録に収録される。図録デザインは建築家 モニカ・ビジャルバ・デ・マダリアーガ氏による。
セルバンテス文化センター東京にて「戸嶋靖昌の見たスペイン」展が開催される。戸嶋がスペインで制作した風景画や肖像画などの作品約50点と、戸嶋自身が撮影したフィルム写真を展示。また、本展覧会を記念して、駐日スペイン大使館にてリナ・トゥール・ボネ氏による戸嶋靖昌に捧げたバイオリンコンサートも開催。戸嶋の愛したバッハの「シャコンヌ」、グラナダの詩人ガルシア・ロルカに捧げたプーランクのバイオリンとピアノのためのソナタを演奏。
スペインの全国紙 EL PAÍS紙(2017年5月23日、デジタル版国際面掲載)に、戸嶋靖昌と本展覧会について紹介した記事が掲載される。
スペイン・カタルーニャの日本文化雑誌“eikyõ influencias japonesas”(『eikyõ ―日本の影響―』)2019年春号 vol.33に戸嶋靖昌に関する記事が掲載される(筆者:Jaime Romero氏)⇒記事はこちら(本文/翻訳文) 雑誌の公式サイトはこちら