草舟座右銘

執行草舟が愛する偉人たちの言葉を「草舟座右銘」とし、一つひとつの言葉との出会い、想い、情緒を、書き下ろします。いままで著作のなかで触れた言葉もありますが、改めて各偉人に対して感じることや、その言葉をどのように精神的支柱としてきたか、草舟が定期的にみなさまへご紹介します。ウェブサイトで初めて公開する座右銘も登場します。

  • ノヴァーリス『夜の讃歌』(第五歌)より

    死の中に、永遠の生が告知された。

    《 Im Tode ward das ewge Leben kund. 》

  死の中から生まれた生だけが、本当の生なのだ。死を超越した生の躍動である。死と共存する生の中に、我々の本当の人生がある。それだけが、我々の人間燃焼を誘発し、また我々の肉体に生命燃焼の訪れを告げる。死を嫌う生では、動物の生に成り下がってしまう。動物の生になれば、その生命は腐り果てて終わるのだ。我々は人間である。人間には人間の生がある。それが死の中に煌く生なのだ。我々の人間燃焼が、そのまま永遠の生と繋がる生き方とも言えよう。
  ノヴァーリスは、人類に訪れた本当の生のあり方を詩に謳っている。それが『夜の讃歌』だ。人間は、自然のままでは人間にはなれない。人間は、自ら人間にならなければならないのだ。自分の魂が、永遠を志向して生きることが人間を生む。その魂は、永遠に向かう生き方を摑むことになるだろう。それによって、死を現在の生に引き付けることが出来るようになる。つまり、今ここで生きる自分の生が、今ここに永遠を引き入れることが出来るようになるのだ。
  死を摑むことが、永遠を摑むことに繋がる。死を厭う者は、動物の生を送りそして腐る。ノヴァーリスは、西洋文明の中でそれを語っている。私はそれを、武士道の中で受け取っているのだ。そして、その死生観には寸分の違いもない。何もかもが同質である。私は『葉隠』の思想に生きることによって、世界哲学と世界文明をこの身に引き寄せているのだ。人間の営みに東西の別はない。そして人間が生きてきた地上に、今も昔もまたない。

2020年11月30日

ノヴァーリス(1772-1801) ドイツの詩人・小説家。貴族の家に生まれて厳格な宗教教育を受け、大学で法律、哲学、歴史学、自然学を学ぶ。婚約した恋人との死別をきっかけに生命の神秘を確信し、自我の宇宙・自然との神秘的一致を主張する宗教的世界観を展開した。『夜の讃歌』、『青い花』等。

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